ペプシノゲン法陰性胃癌について

伊勢崎市民病院内科 松本 純一 

【はじめに】

ペプシノゲン法(以下PG法)は胃癌発生の高度危険群である慢性萎縮性胃炎を検出し、胃癌検診に応用した検査法です。採血のみの検査のため受診者の負担も少なく、従来の間接X線検査を用いた検診の成績と比べても、遜色のない有用な検診法であります。

しかし、PG法が胃癌そのものを診断する検査ではない以上、PG法では検出できないPG法陰性胃癌も存在します。われわれは胃癌100例について手術前にペプシノゲン値を測定し、PG法陰性胃癌について検討しました。

【成績】

胃癌100例の内訳は早期癌53例、進行癌47例でした。PG法陰性癌は早期癌では22例(41.5%)、進行癌では16例(34.0%)、全体で38例(38.0%)でした。胃癌には慢性萎縮性胃炎から発生する分化型癌と、そうではない未分化型癌があります。慢性萎縮性胃炎の併存がない未分化型癌は、PG法では陰性となる可能性があります。PG法を用いた検診では見逃される癌が存在する可能性があり、それが進行癌である場合、即生命にかかわってきます。ここで進行癌を見逃さないためには腹痛等何らかの自覚症状の有無が問題となります。100例について自覚症状の有無をみてみますと、進行癌では47例中43例(91.5%)に自覚症状がみられるのに対し、早期癌では自覚症状を有する人は53例中30例(56.2%)でした。胃癌検診の目的は何ら自覚症状を持たない健康と思われる集団の中から救命可能な早期癌を発見することにあります。医療機関受診のきっかけから分類しますと、ドック・検診群が30例、何らかの症状があって外来を受診した群が70例でした。早期癌の割合はドック・検診群73.3%、外来受診群44.3%でした。またPG法の陽性率はドック・検診群では70.0%、外来受診群では58.6%でした。つまりPG法はドック・検診を受けられる無症状の方に対して有用な検査であるといえます。

【対策】

当院では日帰りドックの胃癌検診としてPG法と胃X線検査法の併用を行っております。過去6年間に発見された胃癌21例中PG法陰性癌は6例、PG法のみ陽性でX線検査では発見されなかった癌は4例でした。X線検査では発見困難な癌がPG法で発見される一方、PG法陰性の癌もあり、胃癌検診の精度を上げるにはPG法とX線検査法の併用が有用と思われます。また何らかの自覚症状のある人は検診ではなく、医療機関を受診し、X線検査、内視鏡検査等を受けることをおすすめします。