人間ドックにおけるペプシノゲン法と直接胃レントゲン検査併用の成績

呉共済病院消化器内科 岡本志朗 

I.対象と方法について

呉共済病院の人間ドックにおいて、1995年9月より1998年8月までの3年間、従来からの直接胃レントゲン検査に加え、ペプシノゲン法を併用して成績を比較しました。対象期間の全受診者は、のべ11,151人(男7,219人、女3,932人、平均年齢は49.3才)でした。

ペプシノゲン法の場合は、ペプシノゲンI値 50ng/ml以下かつペプシノゲンI/II比3.0以下の中等度陽性を要精密検査と判定しました。一方、レントゲン法の場合は、通常8~10枚撮影したフィルムを医師2名がダブルチェックを行い判定しました。なお、受診者の中にはペプシノゲン法のみ行った人が若干名いました。いずれの方法においても、要精検となった受診者は胃内視鏡検査を受けるよう説明しました。

II.ペプシノゲン法とレントゲン法の成績

全受診者11,151人のうちペプシノゲン法は1,830人(16.4%)を要精検と判定し、その45.6%にあたる834人が内視鏡検査を受け、10人(0.090%)に胃癌が発見されました。レントゲン法では受診者10,562人のうち2,045人(19.4%)が要精検となり、その30.3%にあたる620人が内視鏡を受け、5人(0.047%)に胃癌が発見されました。ペプシノゲン法、レントゲン法両方で要精検となった胃癌症例は1例のみでした。なお、全体の要精検者は3,511人(31.5%)でした。

ペプシノゲン法で発見された胃癌10例のうちわけは、分化型早期癌8例、未分化型早期癌1例、分化型進行癌1例でした。一方、レントゲン法で発見された5例は未分化型早期癌2例、分化型進行癌1例、未分化型進行癌2例でした。なお、両方で要精検であった1例は分化型進行癌でした。

III.結果を考察する

ペプシノゲン法は日本人に多い萎縮性胃炎を背景とした分化型腺癌を拾い上げるのに適した検査法です。当院での結果も、ペプシノゲン法で発見された胃癌は10例中9例が分化型腺癌でした。さらに、9例が早期癌であり、レントゲン法では指摘しにくい病変を効率よく発見することができました。一方、萎縮性胃炎の強くない胃に発生する未分化型腺癌は発見しにくく、レントゲン法なら比較的簡単に指摘できる進行癌でも見落とす可能性があります。

ペプシノゲン法とレントゲン法は要精検者が重複する割合も少なく、それぞれが違う視点から胃癌を拾い上げ、お互いの弱点を補うと言えます。

結論として、ペプシノゲン法と、レントゲン法をうまく組み合わせて行うことが重要と思われます。