ペプシノゲン法を職域検診に導入した成績
東京逓信病院健康管理センター 由良明彦
これからの胃集団検診(胃集検)は、形態学的なX線撮影法のみではなく、生化学的かつ時間経過を加味した時系列的な診断が役立つといわれている。その一つのスクリーニング(ふるい分け)検査方式として血清ペプシノゲン法(PG法)がある。最近の職域胃集検には従来から施行されてきた間接X線撮影法(XP法)だけでなくPG法も利用されるようになり、胃がん(特に早期胃がん)の高危険群抽出に極めて有用といわれている。ここでは、PG法を職域胃集検に導入した成績報告と将来展望について検討する。
本研究は、原則40歳以上の職員7,322名を対象とした職域胃集検でXP法とPG法を同日に併用して実施したものである。なお、これは胃内視鏡検査を絶対基準としたときの検討で、PG法の精度は基準値(PG I値≦70ng/mlかつPG I/II比≦3.0)を採用した。その結果、胃がんが22名に認められ、その内訳は早期胃がん17名、進行胃がん4名ならびに早期がんと進行がんの合併した多発胃がん1名であった。これら22名の胃がん例抽出を各スクリーニング検査方式にて分別すると、XP法単独の検査方式では4例の胃がんが認められ、PG法単独では13例、XP法とPG法の両検査方式にて5例の胃がんが発見された。そのうち早期胃がんはXP法単独では3例、PG法単独では10例、XP法とPG法の両検査方式では4例であった。なお、本研究では要精密検査(精検)率、胃がん発見率、感度(疾患ありの中の真陽性の割合)、陽性反応的中度(検査陽性の中の疾患ありの割合)はいずれもXP法と比較してPG法の方が高かった。
以上のことから、職域胃集検の一次スクリーニングとしてPG法を導入するには、XP法と組み合わせた検査方式が望ましく、PG法陽性者には胃内視鏡検査の受診、陰性者には進行胃がんを見逃さない目的でXP法の受診といった工夫が大切と考える。各検査方式導入の在り方についてはそれぞれの事業所の体制・特徴について充分に検討し、最も適した条件での胃集検を施行することが望ましい。さらに、一次スクリーニングにて精検を要する対象者には、胃内視鏡検査などの精検の受診勧奨を啓蒙的に認知させることが肝要と考える。ちなみに、当施設での精検受診率は91.6%であった。最後に、職域胃集検における胃がん対策の将来展望として、胃がん高危険群を管理することは重要な意義があると思われる。
