ペプシノゲン法と胃レントゲン検査

宮城県対がん協会がん検診センター 渋谷大助 

胃がん検診の現場では胃レントゲン検査が広く行われてきました。日本では胃レントゲン検査による胃の集団検診によって多くの早期胃がんが発見され、胃がん死亡者数の抑制に大いに貢献してきました。

しかし、最近では内視鏡検査を施行することによって、レントゲンでは見つけにくく、しかも内視鏡治療が可能な小さな胃がんを数多く発見できること、また受診者もバリウムを服用するレントゲン検査よりも内視鏡検査を希望される方が増えてきたこともあって、内視鏡による胃がん検診が提唱されるようになってきました。

ところが胃がん検診をすべて内視鏡検査で行おうとすると、マンパワーや費用、検査による合併症など実際の医療現場では難しい状況です。そこで胃がんの高危険群を効率よくスクリーニングする必要が出てきました。胃粘膜萎縮は胃がんの危険因子として知られていましたから、血液検査で胃粘膜萎縮の程度を見るペプシノゲン法は胃がんの高危険群である高度な胃粘膜萎縮を持っている人を簡単に診断することができます。ペプシノゲン法によって胃粘膜萎縮が進んでいると思われる人(ペプシノゲン陽性者)に胃の内視鏡検査を施行することによって今までレントゲンでは発見が難しいとされる部位(胃上部、前壁)の胃がんや微少な胃がんを含めて効率的に胃がんを発見できるようになりました。しかし、胃粘膜萎縮がそれほど進んでいない人(ペプシノゲン陰性者)では進行がんであっても見逃されることがあります。外来で発見される胃がんの30~40%がペプシノゲン陰性と言われており、大きな問題となっています。そこで、ペプシノゲン陰性者は進行胃がんの診断に優れたレントゲン検査を受けることが推奨されています。最近は量が少なくて飲みやすく、その上きれいな画像が得られる高濃度低粘性バリウムが開発されました。これからはペプシノゲン法と高濃度低粘性バリウムによる胃レントゲン検査の組み合わせが胃がん検診の主流になるでしょう。

最後に忘れてならないことは、ペプシノゲン法は胃がんの罹り易さを調べる検査であって、胃がんの有無を調べる検査ではないことです。ペプシノゲン陽性者は内視鏡検査で異常がなくても定期的に胃の内視鏡検査を受けるべきです。また、ペプシノゲン陰性者もペプシノゲン陰性胃がんの存在を常に念頭にいれて、症状がなくてもレントゲン検査を受けたり、症状があった場合は病院で精密検査を受けることが重要です。