ペプシノゲン法と胃内視鏡検査
高崎市医師会 乾 純和
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地域における各種検診の流れは集団から個別へ、単独から多項目同時検診へと変わりつつある。 胃がん検診も例外ではなく、将来的にはペプシノゲンを含む血液検診が各医療機関で個別に行われる方向が予想される。そこで問題となるのは測定データ、二次精検(内視鏡)施設の選定とその精度管理、データフォロー体制の確立といった従来検診機関(対がん協会など)が主に行っていた検診業務を、どのような流れのなかで行うかということであろう。 基本的に「かかりつけ医」による個別検診ということになれば、地域医師会が行政と十分連携をとったうえでリーダーシップを発揮しなければならない。以前にもまして地域医師会の役割が重要となる。それを踏まえて今回の命題について考えてみたい。 ■二次精検(内視鏡)施設の選定データフォロー体制を一元化するために、まず測定施設は同一地域、同一施設が望ましい。これは住民基本健診と同様である。 次に二次精検施設の選定であるが、精度管理の問題と関連して地域医師会の責任で行う以上「なんらかの基準」で実施医療機関を指定すべきである。「なんらかの基準」が難しいが理想的には日本消化器内視鏡学会認定医がこれに当たることであろうが、各地域の実状を考えるとまず無理であろう。 高崎市医師会では次の2点を条件として手挙げ方式で指定機関を決定、行政が公表し受診者が選択する方法をとっている。
当然のことながら客観的にみて妥当でない医療機関が手をあげた場合には、理事会がこれをチェックすることになっているが、現在までのところそのような事例はない。その他、各地域において基準はいろいろあろうが要は次の精度管理と連動させることが重要である。 平成12年度第1回班会議(三木班)でもこの問題が討議され、種々な意見が述べられたが(受診者が選択するわけだから、限定できないのではないか。消化器内視鏡専門施設を認定または指定すべき。消化器内視鏡学会の指導医、認定医に限定すべき。行政と地域医師会の連携により、精密検診(内視鏡)医療機関を医師会が基準を作って指定し公表すべき。等々)なんらかの基準を作って精検医療機関を指定することが望ましいという点で大方のコンセンサスが得られている。 ■内視鏡の精度管理についてペプシノゲン法は胃がんハイリスクグループを血清ペプシノゲン値を絞り込む内視鏡検診という見方もできる。そのため、ペプシノゲン法の真価は、二次精検である内視鏡の精度管理にかかっているといっても過言ではない。 一般的に内視鏡がゴールドスタンダードといわれるが本当にそうであろうか。微小胃がん、胃炎型胃がんなど見落としやすい胃がんを的確にチェックしうる内視鏡医の技量が問われなければならないし、精度管理に対するルール作りも必要である。平成9年度胃集検全国集計1) によれば、胃がん発見率において間接集検0.11%、直接集検0.09%、内視鏡集検0.15%であった。その内容は今後十分検討されなければならないが、直接集検や内視鏡集検の成績が間接集検に比べて予想よりも低い印象は否めない。その一因として、両者の精度管理に問題があるのではないかとも考えられる。一方、福井県立病院の細井ら2) は、「内視鏡検査で偽陰性となった進行胃がんの検討」を行った結果、1979年から1996年までに診療した胃がん4,053例のうち255例(6.3%)が偽陰性胃がんとして抽出され、そのうち34例(0.8%)が進行胃がんであったと述べている。このうち肉眼型では0型から5型まですべての型に及び、見逃し理由の判明した33例についてみると、10例(30.3%)が生検陰性、2例(6.1%)が検査医の見落としであった。さらに検査医の経験年数10年以上で44.1%、10年未満で55.9%と大差がなかったとも述べている(表1)。
内視鏡の精度管理を向上させるためには、表2のように種々な方法が考えられるが、今回は4.および5.について述べてみたい。まず4.の内視鏡のフィルムレス化(デジタル化)であるが、(1)光磁気ディスク(MO)にしろ、(2)ファイリングシステム(FS)にしろ、フィルムレス化により撮影枚数の「しばり」から術者は解放され、ストレスなく思う存分撮影できる環境が整うことが最大のメリットであろう。とくにFSでは過去の画像を瞬時に呼び出し比較することが可能であるし、フィルムの収納場所の問題も起こらない。種々の統計処理も簡単である。問題の導入コストも100万円台で可能になった現在、まず内視鏡のデジタル化をすすめることが精度管理の第一歩と考える。ある意味で電子スコープが導入された時点でデジタル化はレールが敷かれていたともいえる。
電子スコープでデジタル化された画像を再びアナログフィルムに移すという発想は「胃カメラ」から発展してきたわが国の内視鏡の宿命であったかもしれないが、FSまでが構築されてしまった現在、これを利用しない手はない。さらにこのデジタル化をすすめて、5.のバーチャルカンファランスシステム(医用画像電子会議システム;VCS)への応用は今後の内視鏡精度管理をすすめるうえできわめて重要となろう。何月何日何時にどこへ集まれ、というカンファランスも必要ではあろうが、毎日行えるわけではない。VCSを利用すれば365日24時間その利用が可能となる。出題者は好きなときに画像とコメントをアップロードし、会員も好きなときにこれを検討し意見が述べられる。特定の医師にコメントを求めたければその医師にあらかじめファックスなりメールで頼んでおけばよいことになる。 われわれ高崎市医師会ではすでに医師会、医療センター、附属看護学校、会員を結ぶイントラネットが構築されていて、医師会や看護学校のスケジュール、病診、診々連携に関する情報、検査データのオンライン化など日常的に活用されている。 セキュリティーの問題もあって現在ではインターネットへは接続していない。今回このイントラネット上でVCSを構築すべく目下準備、テスト中であり、2001年春には稼動の予定である。 21世紀はITの時代といわれるが、医療もその例外にはなりえない。内視鏡の精度管理に関しても、発想を転換して新しい構築を模索すべきであろう。 文献
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参考 楽な内視鏡検査の受け方
